受講生・修了生のストーリー

地域に根ざした学びの場づくり

高橋 俊さん

スクール修了後、農業と教育支援の双方に携わる中で、教育支援の魅力に気づく。「ホウカゴノガッコウ」と名付けられた教室で、篠山市内の小・中・高校生を対象に、教育支援事業を行なっている。

現在の活動とこれまでの足どり

2018年春より、篠山市内の小・中・高校生を対象に、教育支援事業を行なっている高橋俊さん。「ホウカゴノガッコウ」と名付けられたその教室は、塾のように見えてただの塾ではないようです。子どもたちにとって最も近い距離にいる先輩として、学習指導だけではなく、人生相談や体験学習など、公教育だけではフォローしきれない学びを積極的に提供しています。

その原点は、自身の学生時代にあります。いまの生徒さんたちと同じように篠山市で育った高橋さん。決して篠山が嫌いだったわけではありませんが、もっと広い世界を見たいという思いがずっと頭の片隅にありました。獣医の仕事に興味を持ったことをきっかけに北海道の大学に進学。そこで見た雄大な大地と、自然とともに暮らす農業者の姿に大きな刺激を受けました。そして、最終学年を迎え、キャリアを考えるようになった頃には、高橋さんは自然と「自分も地域に根ざした仕事がしたい。」と思うようになっていました。大学を卒業すると同時に篠山に戻り、将来は篠山で農業に携わることを念頭に、農業経営を学ぶべく神戸大学大学院農学研究科に進学しました。

イノベーターズスクールに入学し

大学院で指導教官となったのが、篠山イノベーターズスクールのディレクターでもある中塚雅也先生でした。しかし、高橋さんはわずか半年で休学します。篠山に戻り、地元農家でインターンを重ねるにつれ、座学だけでは飽き足らず、早く実践したいという思いが日に日に強まったからです。そして、中塚先生に休学の相談をしに行った際に紹介されたのが、ちょうど開校準備中だった篠山イノベーターズスクールでした。これこそいまの自分に必要な学びだと思い、高橋さんは入学を決めました。

イノベーターズスクールで得たもの

イノベーターズスクールで得たものは2つあります。一つは、スクール同期の仲間たち。老若男女、多種多様な人材が集まる場は、普通に大学院生活を送っていては得られないものでした。もう一つは、地元メディアとのネットワークです。スクールでの取材をきっかけに生まれたご縁がいまも継続しています。「ホウカゴノガッコウ」を始める際にも、自ら記者さんに連絡し、記事にしていただきました。

今後の展望

スクール修了後、農業と教育支援の双方に携わる中で、教育支援の魅力に気づき、現在は「ホウカゴノガッコウ」の運営に力を注いでいます。しかし、かつて志した農業ビジネスへの関心は、いまも持ち続けています。地域経済を支える一つの重要な産業として、子どもたちが自然への理解を深めるためのきっかけとして、目的ではなく手段としての農業にこだわりながら、接点を持ち続けたいと考えています。運営する「ホウカゴノガッコウ」は口コミで生徒数が徐々に増えています。すでに一人の経営者としてこの事業で生計を立てていますが、自らも学び続けることで、生徒のお手本となり、さらに事業を確固たるものにしたいと高橋さんは言います。近い将来、きっと篠山から世界に羽ばたく人材が現れることでしょう。




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2024.3.30 SAT
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