受講生・修了生のストーリー

廃校の活用

岸田 万穂さん

木工家。廃校を活用するNPO法人SHUKUBAの立ち上げ。

現在の活動とこれまでの足どり

木工家として家具や器作り、部屋の内装を手掛けるかたわら、廃校を活用するNPO法人「SHUKUBA」の理事を務める。神奈川県出身、東京の大学を卒業後、木工を学ぼうと専門学校へ入学。卒業制作で篠山の古民家リノベーションに携わったことから篠山に縁が生まれた。2016年10月から3年間、地域おこし協力隊として活動した。

イノベーターズスクールに入学したきっかけ

専門学校を卒業し、篠山の工務店でアルバイトをしながら進路に悩んでいた頃、廃校になった小学校のリノベーションに力を貸してほしいと地域の方から依頼があった。木工の技術を直接活かせる仕事ができる!ということで、地域おこし協力隊になった。しかしその段階では、改修した施設をどう活用するのか、運営体制や目的が定まっていなかった。話し合いをするにも、どのようなメンバーで何から決めればいいのか、頭を悩ませていたころ、イノベーターズスクールのことを知った。当時、廃校活用については市内の他の地域でも議論に挙がっており、そんな潮流を反映して「跡地活用スモールビジネス立ち上げプロジェクト」というCBLが開講されるところだった。

イノベーターズスクールで得たもの

CBLで学んだことは、すぐに実践に活かされた。跡地活用のコンセプトをどう決めるか、会議の進め方や取りまとめ方、いかに地域の方々の本音を聞き出し、合意形成をするかなど、自分の専門である「ハードづくり」とは違う、ソフト面の内容重視。「やったことのない分野だったので、すごく勉強になりました。」他にもたくさんの廃校がある中で、篠山市全体、丹波地域全体で考え、競合することなく、補完し合えるような施設にするという視点を得られたのもよかったという。大学では史学科専攻だったこともあり、講座「地域の成り立ちと構造」も興味深かった。学術的な観点から篠山を知り、何を大事にする地域なのか、「土壌を知る」ことは、地域で活動する上でもヒントとなった。

なりわいの幅が広がった

今では地域おこし協力隊をきっかけにはじめた活動について、大学で講義をしたり、雑誌や新聞記事の執筆依頼を受けたりすることもある。「本業以外のことで、こんな風に仕事をもらえるようになるとは思っていませんでした。その時その時の仕事に、きちんと向き合ってきた結果が今につながっていると感じるし、やってきたよかったと思います」やるからには、時間や労力を出し惜しみしない。全力で取り組んできたからこそ、自分の言葉で語り、文章を綴ることができるという。他にも、地域のお祭りや行事の様子を撮影し、聞き書きをして、映像としてアーカイブ化する仕事も請け負っている。ここでも、歴史・文化好きが仕事につながっており、「人生何が役立つか分からないなと思いながら取り組んでいます」と語った。

今後の展望

この春、市内に土地を購入した。なんと、自らの手で家を作るという。「もちろん木造で、できるだけ地域材を使って…家を建てること自体がとても自分のスキルアップになると思うんです」ポイントは、広い作業スペースと、雑木林を作ること。すでに自宅では、ブナ、コナラ、カエデなどの広葉樹や、りんご、ゆず、コーヒー、金柑といった果樹の苗木を育てているそうだ。「作業場ができたら、ワークショップをやりたい。泊まりがけで木工合宿とか!」好きなことを形にしていく楽しみが、笑顔にあふれる。

インタビュアーあとがき

一人で黙々と創作活動を行う木工家と、時に近すぎるほどの距離感で地域の方々と一緒に進めていく地域ビジネス。対極にあるように感じられる2つのなりわいが、実は相性がいいようだった。「木工は孤独な仕事なので、週1回はSHUKUBAに来て、人としゃべりながら仕事をするのが楽しい。」また、「自分がやりたいことと必要とされることとは必ずしも一致しないこともあるけれど、そのどちらも私にできることである限り、バランスよく頑張りたい」その言葉に、できることに一生懸命取り組んだ先にこそ、やりたいことを主体的に選び、楽しめる道が開けるのかもしれないと感じた。




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2022.1.19
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