受講生・修了生のストーリー

草刈り事業の開始

酒井 大輔さん

丹波篠山市へUターン移住を果たし、親子で草刈り事業「草刈り親子」を開始。

現在の活動とこれまでの足どり

フリーのカメラマンとして、七五三やお宮参り、結婚式などの記念写真を撮影する。丹波篠山市出身、大学進学とともに京都へ行き、新卒で冠婚葬祭を手掛ける企業に入社。研修時に目にした結婚式の前撮りの様子に惹かれ、式場カメラマンを志望。10年ほど経験を積んだ。もともと地元が好きだったことや、子育ての観点から32歳のときにUターンし、草刈りビジネスや父の農業の手伝いなど、複数の業を掛け持ちしながら充実した日々を送る。

イノベーターズスクールに入学したきっかけ

Uターンしてから、2年ほどは大阪へ通勤していた。毎日JR篠山口駅を利用する中で、イノベーションラボ(スクールの会場、駅に直結している)が気にかかり、調べてみると農村ビジネスや起業について学べるという。このままカメラマンとして生きていくのか、父のやっている農業をいずれは引き継ぐのか、などと迷いを抱えながらも、「何かしら自分でやりたい」という気持ちから、入学を決めた。

イノベーターズスクールで得たもの

スクールに入学してあらためて「篠山のことを知らなかった」と実感した。篠山の歴史、場所、黒豆はもともと畔で作られていたという話なども、目からうろこだった。また、スクールには市外から通う人や移住者も多く、「外の人の方が篠山のことを想っている、地域ならではの資源をどう生かすかなど、長年住んでいると分からない部分もあって、とても勉強になりました。」CBLでは、市内の大規模農家さんの話を聞いたり、現場を見学したり、兼業農家である父との比較から、いかに農業でビジネスをするのかを学んだ。

草刈りビジネス

講座「農村イノベーション」では、高齢化による草刈りの負担、担い手不足の深刻さを知り、何かできないかと考えた。体力的にしんどいけれど、近所の付き合いもあるから草刈りをしたい、という声は多く、また、シルバー人材センターに依頼しているけれど、そちらも人手不足でなかなか回ってこない、という現実があった。そこで、父と一緒に「草刈り親子」として依頼を受け始めた。今では同世代の仲間も加わり、個人宅だけでなく企業からの依頼もあるという。「ただ草を刈って終わりではなく、私たちに頼んでよかったと思っていただきたい」草からご縁をいただく「縁草社」という名前で活動している。

今後の展望

草刈り事業は、今後もより一層需要が高まることから、草刈りをする人も増やしてプラットフォーム化していきたいと考えている。安全性などの課題はあるが、スキマ時間で稼げるバイトになればいいのではないかと構想中だ。

写真家として

1年半ほど前から、市内の60歳以上の方々を対象に「輝き写真」を撮影している。その方らしい場所で、姿で、ポーズで撮影し、現像してプレゼントする。会社に勤めていた頃、終活イベントで遺影写真の撮影をしていたのだが、無地の背景、みな同じような服装で撮影することに疑問を抱いていた。「遺影となると、いろんな感情が湧いて難しいけれど、何かあったときに、この写真があってよかったねという存在になれたら」と話す。最初はひそかに30人を目標にしていたのだが、実際に撮影をした人からは大変喜ばれ、数珠つなぎに紹介されるなどして今夏100人を達成した。「写真を撮って元気をもらった、いい経験になったと言っていただけることが多く、今度はその写真を見た人にも活力を与えたい!と思うようになりました」2021年10月末には、「輝き写真展」を開催し、405名のご来場があった。「今後は、市内だけでなく、市外にもこの活動を広め、写真だけでなく、動画でその人の姿を残すことにも挑戦していきたい」新卒の頃から変わらない、人の人生に寄りそう仕事、一人一人の輝きを形に残すことに情熱を注ぐ。

インタビュアーあとがき

初めてお会いしたとは思えないほど、話しやすい方だった。カメラマンとしての経験談を聞いていると、「こんな笑顔、生まれてから今まで撮ってもらったことない」「こんな話、家族にもしたことないわ」というお客さんの言葉がたくさん登場した。なぜ、酒井さんにはできるのか?「なぜでしょう(笑)やっぱり『知りたい』と思っているからですかね、その方のことを。だからたくさん質問します!」恥ずかしくて普段は口にしていないこと、見せていない表情、でも写真や動画に残っていたら、あってよかったなと思う。「形に残す」という貴重で希少なことに日々取り組む彼自身、とても輝いていた。




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2024.3.30 SAT
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