受講生・修了生のストーリー

Uターンし農業を継業

吉良 佳晃さん

家族でUターンし、実家の農業を継業。
子育て中。丹波篠山への”関わりしろ”を増やし、里山資源を活かすビジネス環境を整備する「一般社団法人AZE」を立ち上げ。

現在の活動とこれまでの足どり

丹波篠山市出身、大学進学とともに京都へ行き、京都で就職したが、2014年6月から父の経営する「吉良農園」を手伝い始める。2018年3月に家族でUターンし、2年後の4月から正式に代表を引き継いだ。現在は、農園の経営や計画、農作業に勤しみながら、一般社団法人AZEの立ち上げ、本スクールの卒業生との関わりや、集落の草刈り保全会の活動、まちづくり協議会での通信発行など、多岐にわたって活躍する。

イノベーターズスクールに入学したきっかけ

第一子の保育園入園をきっかけに、子どもの発達と自然環境について考えたり、里帰りの度に増えていく耕作放棄地を目にしたりするうちに、次第に故郷へと目が向くようになり、京都にいながら篠山に通う日々を過ごした。2016年、イノベーターズスクール第1期のCBL講師を父と一緒に担当し、熱意のある受講生や運営メンバーが集まっていることに魅力を感じるとともに、農業を取り巻く周辺の環境「里山」を学びたいという想いから翌年、受講生として入学した。

イノベーターズスクールで得たもの

今では起業仲間となった河口氏との出会いをはじめ、受講生・講師との出会いはもちろん、各講座で得られた学びも多々あった。具体的には、「地域の成り立ちと構造」では、幅広く篠山市全体、丹波地域全体のことを知ったうえで自分の地区・集落を捉えることができるようになったり、「農村イノベーション」では、取り組みたいことを理論的に組み立てられるようになったりした。一方で、「学んだ、熱い仲間と出会えた、意欲も高まった、けれどいざ何をするか。自分には農園や地域というフィールドがあったけれど、外から来ている人にはそれがない。出口(実践できるフィールド)を充実させる必要があるのではないか」と感じ、スクール卒業生が活躍できる場づくり、コミュニティづくりへと活動を展開した。

<一般社団法人AZEの立ち上げ>

第6期で再びCBL講師を務めたときには、講座終了後も活動が継続できるように設計した。タイトルは「里地里山創造のコミュニティビジネス」、里山、田畑、人々の暮らしのつながりや循環について考え、耕作放棄地の再生や生態系の保全に取り組む。講座終了後は、有志の受講生をふくめ多様な人が関われる場として、一般社団法人AZEを立ち上げた。AZEとは、田と田の間のあぜ道のことであり、多様な生き物が暮らす場、人と自然の関わりの象徴でもある。みんなで草刈りをして耕作放棄地を再生したり、畑の一部を借りて週末に農業をしたり、篠山に住居を購入したりと思い思いに活動している。「講座の内容が(学びたいことと)少しずれていても、実践の場があればやりたいことができる」イノベーターズスクールが篠山での暮らし、なりわい、ビジネスの入り口として機能できるよう、スクール修了後の道づくりに尽力する。

今後の展望

古市地区という舞台で、人と人、人と自然とがつながり、あらゆるものが循環する持続的な社会を実現すること、そのような社会の先進的なモデルとなることを目指している。そのために今やらなければならないこと、直近の課題として草刈りや組織づくりに取り組む。「循環を見える化し、五感で感じられる場所として整備したい。古市はそれにちょうどいいサイズ」昔はよく、クワガタを見つけて遊んでいた。近年では、クワガタが生息するクヌギやコナラに「ナラ枯れ(老木にナラ菌が感染し枯れてしまう)」が発生し、クワガタの数が減っているという。山に入って木を切って使っていた時代にはなかった問題が生じている。「自分が子どもの頃、当たり前にあった景色や生きものが消えてしまうのは寂しい」多岐にわたる構想と行動の原動力は、少年の心にあった。

インタビュアーあとがき

AZEの草刈り活動では、その日初めて刈払い機を使う人向けにとても分かりやすく、丁寧に講習をしてくれた。地域の清掃活動では、「刈払い機は危ない、持っていなければゴミ拾いで参加してくれたら大丈夫だから」と持たせてもらえなかったので、使えるようになって嬉しかった。地方での暮らしや里山などへの関心が高まる一方で、地域との関係づくり、外からの関わりとなると一筋縄ではいかないことや、見えづらいことが多々ある。そんな時、彼が地域との架け橋となってくれたら、とてつもない安心感と、楽しみが生まれるだろう。思わず参加したくなった、気づけば深く入り込んでいた、そんな人たちでにぎわう古市の未来が目に浮かぶようだった。




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2022.5.14 
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